沿革・活動方針
沿革
日本化学会の研究者は「分光化学研究会」の設立を企画し、植村琢を発起人代表として1951年1月に趣意書を配布していたところ、時を同じくして、応用物理学会においても有志が分光学に関する会合を作る計画を進めていました。これらのグループが合体して研究会設立の機運が急激に高まり、1951年4月4日に東京大学工学部土木学教室において、120名の出席者のもと「分光学研究会」の第1回会合が開催されました。組織としては幹事長制であり、柴田雄次氏が初代幹事長に就任しました。その後、1951年6月に東京工業大学で研究発表会が開催され、1952年5月に東京大学工学部、同年7月に北海道大学理学部、1953年2月に九州大学理学部、同5月に東京教育大学において、研究発表会が開催されました。1951年6月には、分光学研究会会報第1巻をだし、これが学会誌「分光研究」の第1号となりました。
このような活発な活動のもと、学会に昇格させたいという機運が高まり、1953年5月30日に東京教育大学において開催された総会において、分光学研究会は発展的に解消し、新たに「日本分光学会」が設立されました。初代会長には藤岡由夫氏が就任しました。1962年12月に文部大臣の許可を得て社団法人となり、2013年4月に公益社団法人日本分光学会として認定されました。
現在では、本部と6つの地方支部から構成され、会員数(正会員、シニア会員、学生会員、公共会員、特別会員、賛助会員、名誉会員)約900名の団体に成長しました。設立当初から専門部会(発光、赤外ラマン、装置、生物)が設けられ、専門分野間の横の連絡機関として生まれた、他に類例を見ない起源をもつ学会です。
活動方針
本学会の目的は、分光学に関する研究の発表や交流を行い、学術文化の発展に寄与することです。学会として次の活動を行っています。
(1) 9の専門部会(NMR、テラヘルツ、高分解能分子、紫外フロンティア、生細胞、赤外ラマン、先端レーザー、近赤外、スペクトル解析分光部会)を設け、各分野における講演会などの活動を行うと同時に、これらの分野間の交流の場として年次講演会を年1回、開催しています。夏期セミナーを開催して分光学に関する講習を行っています。
(2) 学会誌「分光研究」を年6回、発刊し、また、分光学に関する書籍、分光測定入門シリーズや分光法シリーズなども刊行しています。
(3) 内外の諸団体と分光学に関する交流を行っています。米国の分析化学と分光学に関する組織の連合(FACSS)に参加し、毎年The Great Scientific Exchange(SciX)コンファレンスでシンポジウムを企画しています。
(4) 分光学に関する研究の奨励を行っています。
(5) 分光学およびその関連分野において優れた研究業績をあげた本会会員を表彰しています。
日本分光学会は、化学、物理学、光学、生化学、生物学、天文学など広範な学問領域を横断する研究者が集う学際的な性格をもつ学会です。今後も、物理学原理に基づき、分子からナノ構造体、固体に至る幅広いスケールの物質を対象とした科学的測定・解析方法の開発を行い、分光学の基礎・応用研究と学際的研究を発展させてゆきます。