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   会長挨拶

佐々田博之(慶應義塾大学理工学部物理学科)

 このたび日本分光学会の会長になりました慶應義塾大学理工学部物理学科の佐々田です。
お引き受けする際、分光学と日本分光学会に対する私の思いを「分光研究」65巻1号の巻頭言に書きました。
以下にその文章を載せ、御挨拶とさせて頂きます。



科学技術の大聖堂:分光学
―日本分光学会の役割と展望―

分光学は光と物質の相互作用により物質の性質、構造を明らかにする学問とされている。今では光を広く電磁波ととらえ、電波領域からγ線領域まで含んでいる。その歴史は少なくとも16世紀のニュートンまで遡ることができ、科学の進歩とともに膨大な知識が蓄積されている。量子力学の成立を促し、宇宙を探る手段となり、分析技術にも応用され多様な分光分析機器が広く普及している。

分光(法)がつくことばも非常に多い。電磁波の周波数領域で対象となるエネルギースケールと実験手法が大きく異なるため、紫外分光・マイクロ波分光などの分類が行われる。また、現象に注目して蛍光分光、ラマン分光、光電子分光、磁気共鳴分光等、対象に注目して分子分光、生体分光等がある。光源による分類もあり、時間軸での測定も分光法の一つである。分光学の基礎となる学問分野も、電磁気学、光学、量子力学、原子分子物理学、固体物理学、統計力学、群論、レーザー物理学と多岐にわたる。このため、分光学は自然科学の保守本流、まさに、科学技術の大聖堂の感がある。しかし、学問の継承だけではなく、レーザーに代表されるそれぞれの時代の技術革新を取り入れて新しい分光学の開拓も絶え間なく行われている。

一方、壮大な分光学の大伽藍のため、個々の研究者、技術者は自分が携わる分光手段を越えて周辺に目を向ける機会は少ない。日本分光学会の存在意義はここにある。分光学でくくられる分野同士は、共通のことばで話すことができる。日本分光学会には専門部会、地方支部があり、それぞれが研究会等を通じて学会会員に発表、交流の機会を提供している。学会誌「分光研究」では最近の研究の紹介に加えて、1年をかけて「講座」が連載される。分光学の多様な分野を初めからじっくり勉強できる機会として好評を得ている。出版物も「分光測定入門シリーズ」は全10巻が完結し、「分光法シリーズ」が既刊の3巻に続いて充実していく。学会主催の年次講演会は、研究発表の場であるだけでなく、1つのトピックスを取り上げて国際シンポジウムを開いている。また、いくつかの展示会でセミナーを開き、学生、若手の技術者に分光学の導入部を伝えている。

長い歴史をもつ分光学と同様、日本分光学会も1953年には既に設立されている。しかし、本学会も他の学会同様会員数が漸減している。原因は様々あるだろうが、分光学そのものがすたれていくとは関係者のひいき目を割り引いてもとても考えられない。本学会では多くの若手が会の運営に携わっている。日頃の地道な活動とともに、若手から改革の提案を頂いて会員数を増加へと転じさせたい。

佐々田博之(慶應義塾大学理工学部物理学科)


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