隣り合う波長領域の分光法である赤外分光法と近赤外分光法は,いずれも主に分子振動を観測する分光法であるにもかかわらず,使われ方が大きく異なります.赤外分光法では多くの場合,量子力学を基礎として観測されるバンドを丁寧に帰属し,分子の構造や結合と直接関係付けながらスペクトルを解釈します.一方赤外分光法では,バンドの帰属や分子構造・結合との関係の議論は省略してスペクトルを定性分析や定量分析に用いる傾向が強いようです.この違いは,これらの分光法がそれぞれの長所を生かし短所を避けながら発達してきた結果生じたもので,分光法そのものに優劣があるわけではありません.しかし,お互いの理解を深め,見習ったり補いあったりすることにより二つの分光法はさらに発展する可能性があります. 本シンポジウムは,普段は交流の少ない近赤外と赤外の分野の研究者が集まって共通の話題について情報交換や討論することを目的として企画しました.また,両分野にまたがって研究をされている先生にも講演をお願いしました.本シンポジウムが,赤外分光法,近赤外分光法の新たな展開のきっかけになることを期待しています. |
主 催 |
(社)日本分光学会 近赤外分光部会,赤外ラマン分光部会 |
協 賛 |
近赤外研究会、関連企業 |
日 時 |
2011年1月28日(金)10:00-16:25 |
場 所 |
広島市立大学 講堂小ホール(200名収容)
(広島市安佐南区大塚東三丁目4番1号)
http://www.hiroshima-cu.ac.jp/
http://www.hiroshima-cu.ac.jp/guide/index.html (アクセス案内) |
参加費用 |
日本分光学会,協賛学会会員: |
2,000円(一般), 500円(学生) |
非会員: |
4,000円(一般),1000円(学生) |
当日受付にてお支払い下さい. |
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参加申込 |
当日参加も可能ですが,できるだけ1月24日(月)までに電子メール,FAXなどで申し込みをお願いします.申し込みには,「近赤外・赤外ラマン部会合同シンポジウム」と明記の上,ご氏名・ご所属・会員番号(日本分光学会会員の方のみ)・電話・FAX・電子メールアドレスをお知らせください。参加費は,当日会場でお支払いください. |
申し込み先 |
東京農工大学 大学院農学研究院(近赤外分光部会幹事代表)
高柳正夫
電子メール:masaot@cc.tuat.ac.jp
TEL & FAX:042-367-5614
〒183-8509 東京都府中市幸町3-5-8 |
プログラム |
9:30 |
受付開始 |
10:00-10:05 |
開会 |
10:05-10:45 |
勝本之晶(広島大院理)
赤外分光法と量子化学計算で調べる機能性高分子の相互作用と局所構造 |
10:45-11:25 |
森澤勇介(関西学院大理工)
XHおよびXH2伸縮振動倍音を用いた液体中の水素結合研究へのアプローチ |
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(昼食休憩) |
12:45-13:25 |
橋本 篤(三重大)
バイオ・食品・農業プロセスにおける赤外分光計測 |
13:25-14:05 |
矢野卓雄(広島市大)
バイオディーゼル製造副産物の排水処理とコンポスト化処理における近赤外計測 |
14:05-14:45 |
竹林良浩(産総研ナノシステム)
水/超臨界二酸化炭素マイクロエマルションの近赤外分光測定 |
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(休憩) |
15:00-15:40 |
竹内雅人(阪府大院工)
近赤外および中赤外分光法による酸化物表面の吸着水の解析−よく濡れる表面が本当に親水性なのか!? |
15:40-16:20 |
石橋孝章(広島大院理)
有機単分子膜/薄膜の振動和周波発生分光 |
16:20-16:25 |
閉会 |
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